トランプさんが勝った:アメリカ大統領選挙、勝者予測にみる難しさ

今回の内容

 
 
 
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1:はじめに 

 

今年のアメリカ大統領選挙は、ドナルド・トランプ候補のおかげ?でそれなりにわたしの周りでも盛り上がりを見せた。

日本のメディアも今回の大統領選挙は視聴率につながると思ったのか、特集を組んで報道している。

今回の大統領選挙の関心のひとつは、当初「クリントン候補優勢」だったのに、選挙当日の開票状況が進むにつれてトランプ候補が優勢になり、最終的にトランプさんが次期大統領になった、というドラマがあったことだ。

 

昨今のビッグデータ、AIの盛り上がり状況からも、今回の選挙の勝者予測が外れたことは、それなりの関心ごとだと思うので、エントリーをたてた。

 

 

2: 「マスメディアに関わる責任」を自覚してほしい

 

アメリカ大統領選挙の結果、ドナルド・トランプさんが次期大統領に確定した。

 (たぶん)全てのメディアで、今回の大統領選挙の勝者予測が外れた。

 

日本では、2016/11/12SunのNHKの番組『 ニュース深読み』で

 

  • 「結果を見誤った」
  • 「なぜ結果を見誤ったのか?」

 

と、(わたしに言わせると無知なアナウンサーが)繰り返し発言していた。 

マスメディアが無知だと、大衆をミスリードするから質が悪い。

日本では統計リテラシーの教育がアメリカ・オーストラリラと比較して遅れているので、マスメディア関係者は、視聴者と同じレベルでいてはいけないのではないか、と思う。自覚してほしい。

 

(余談だが)NHKの『ニュース深読み』はときどき見るが、わたし個人にとっては「残念」な番組だ。

今回も残念だった。「残念」と思うなら見るな、と言われるかもしれないが、「どのように報道されているか知りたい」という感情があり、残念だが見てしまう。(愚痴です)

 

 

3: 大統領選挙では「予測」が外れた

 

「予測」は確率を使った「当てずっぽう」だ。

 

「予測」に使う確率とは、経験則やデータという、過去の 実績から、起こるであろう可能性の割合だ。

 

そのため、 実際の結果は(当たり前だが)当たる場合も外れる場合もある。

経験則やデータと同じ状況が、予測するときと同じ状況であるなら、そこから算出した予測確率は、100パーセントに近づく。

 

この理屈から考えると、大統領選挙で各メディアの「クリントン勝利」という予測が外れたのは、予測に使ったデータの状況と実際、選挙投票に足を運んだひとの間に、違いがあったと言うことになる。

 

言い方を変えると以下になる。

 

  • 予測で使ったサンプルデータは投票者という集団を代表していなかった
  • 調査アンケートに回答したひとは、実際に選挙に足を運んだひとたちとは、異なる集団たった

 

報道では「結果を見誤った」というが、そうではない。

「結果を見誤った」が正しい認識ならば、その前提は「データは正しいが、それを解釈したひとが何か間違いを犯した」ということになる。

 

今回は「結果予測が外れた」のだ。

だから問題となるのは、

 

今回の選挙結果予測の過程で、どの部分でサンプルデータが、投票者集団を代表しなくなったか

 

ということになる。

 

 

4: 一部の選挙予測の難しさ

 

今回の大統領選挙のように、「自分ごと」度合いが高く、かつ接戦の選挙は予測が難しいと考えた。

 

以下、順を追って記載する。

 

4-1: 予測に使った調査データのサンプリングは正しかったか

 

統計リテラシーについては、アメリカは日本よりも10年以上進んでいる。そのアメリカで実施された調査ということを考えると、調査のためのサンプリング方法(アンケートの取り方)に間違いがあったとは考えにくい。

加えて、報道機関各社で同じようにクリントン候補優勢を伝えているようなので、これまで培ってきた手法を用いた調査だったと考えることができる。

 

と考えいると従来の調査方法では対応できない事態が今回起こったと考える必要があると思う。

 

4-2: 今回の大統領選挙から学ぶことができるであろう事柄

 

今回の選挙は、選挙期間中から「アメリカのターニングポイントになる可能性がある」と言われていた。

その要因のひとつは、エスタブリッシュメントと言われる支配層/権力者重視の政策が終焉を迎えるかもしれない、ということだった。

対立構造としては、没落する白人中間層 vs これまでの政治(=エスタブリッシュメント優遇)だそうだ。

 

そのような状況下、選挙結果を受けて、何が考えられるだろうか。

 

4-2-1: 自分事度合いが高い

 

2回の直接討論(アメリカ大統領選挙では候補者の直接討論会がある)では、アメリカ史上最低レベルの討論会だった、と言われるほどの状況だったが、過激な発言を繰り返していたドナルド・トランプさんが共和党候補になった時点で、彼に対する国民の期待があったのだと思う。

 

関心の高さは、選挙結果を自分事としてとらえるドライバーになるが、「自分事度合い」については、選挙投票日に向けて醸成されていく。

有権者は様々なルートで情報を収集し、「自分はどう行動するか」を考える。

割合はわからないが、一定数は投票直前まで迷い、投票するその瞬間に「エイヤッ」で決める。

そのため、事前調査で回答したように投票行動を起こさない有権者が存在することになる。

また、関心度合いが高いと「浮遊層」が投票行動に出る。読めない層だ。

 

4-2-2: 考える期間が長い

 

大統領選挙は候補者による2回の討論会を経て投票する。

そのため、選挙を意識してから投票までの間、検討する時間が十分にある。

今回の選挙では、トランプさんが大統領になったらどんなメリット、デメリットがあるか、クリントンさんが大統領になった場合はどうか、と考える時間があった。

浮遊層はとても迷ったのではないかと思う。

 

一方、支持を固めているひとも多くいるだろう。

しかし割合はわからないが、似非支持者も一定数はいる。

自分で深く考え抜いた末の支持ではなく、別の要因、例えば親が昔から民主党支持だったのでその関係でわたしも、と支持を表明しているひとだ。

そのような自分の意志ではない支持を表明しているひとは、偏った情報によって支持を決めているわけだが、何かのきっかけで、別の視点(例えばグラスを真横からみていたら長方形に見えていたが、真上からみたら丸かったなど)を得た場合に、考えが180度振れる場合がある。

 

報道によるバイアスもある。

長い選挙期間中に、マスメディアはどちらの候補が優勢か、という報道をする。その報道を受けた有権者は、その報道をもとに再考する。

 

 

4-2-3: 接戦である

 

選挙勝者予測において、接戦の場合は要注意だ。

浮遊層と似非支持者が、どちらに動くかわからないからだ。

今回の選挙では、

 

人種差別主義者の要素があるトランプさん

vs

エスタブリッシュメント代表のクリントンさん

 

という構図になっていたようだ。

 

「どちらの嫌われ者を選択する?という選挙だ」という報道関係者もいた。

 

 

5: 予測が外れた原因

 

ここまで書いてきた内容は、特にエビデンスがあるわけではない。

しかし、

 

  1. 自分事度合いが高い
  2. 考える期間が長い
  3. 接戦である

 

といった要素が入ってくると、結果予測は極めて難しいのだと、現時点でのわたしは理解した。

ブログにちょろっと書いている程度なので、適当度合いも高い内容だ。

だから、今後、各メディアが検証してだしてくる、「なぜ勝者予測が外れたか」というレポートを心待ちにしている。

 

 

 

(追記:2016/11/13)

日経ビジネスも基本、わかってないな。一理あるけど、調査で回答した内容は変化しないという前提に立っている。

つまり、NHKと同じ「なぜ結果を見誤ったか?」という問いだ。

 

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