「モチベーションの低下」が原因 --->「手立てがありません」にならないために

今回の内容

 

1: どれほど「モチベーション」は人気があるか

「Motivation=モチベーション」という言葉を辞書で引くと以下の意味だとある。

motivation
【名】
〔人に〕やる気[意欲]を起こさせること
〔何かをする〕意欲、やる気
〔意欲を起こさせる〕誘因、刺激
《心理学》動機付け
レベル7、発音mòutəvéiʃən、カナモゥティベイション、モチベーション、分節mo・ti・va・tion

 

「モチベーションがあがらない」「チームのモチベーションを上げたい」というようなフレーズを聞くことがあると思うが、この場合の「モチベーション」はたぶん「意欲・やる気」を意味していると思われる。

この「モチベーション」という言葉は、いつのころからか市民権を得たのだけれど、それはいつ頃なのだろうか。「モチベーション」で出版されている本を調べてみたところ、たぶん1990年前後がその時期だと思われる。ちなみに結果は以下の通りだった。

 

  • 『モティヴェーションの理論と実際』魚住新八著という本が1949年に出版
  • 1960年代に「行動」と「モチベーション」を組み合わせた研究の本が出版
  • 1989年に「モチベーション」と「マネジメント」を組み合わせた本が多数出だす
    この時、「モチベーション入門」の本が出版されていることからこの時代にモチベーションが再認識された時代と考えられる
  • 1999-2005年の期間、「モチベーション」をベースにした本が毎年出版
  • 2006年から「自分のモチベーション」を維持する方法を記載した本が出版開始
  • 2011年ころから自身が逆境に打ち勝つためのモチベーションの本が出版開始
 
 出版された本の歴史を見ると、最初は自分が管理する組織に対して、どのようにモチベートするか、というテーマが主流だったが、2006年以降は自分自身のモチベーションをどのように管理するか、ということもテーマに上がるようになっている。
なお、当然ながら、この間も「自分が管理する組織をどのようにモチベートするか」というテーマは引き続き出版されている。「モチベーション」で儲けているひとは結構いるなーという感想を持った。
 
 

2: 「モチベーション」の影響力を最小にする

「モチベーション」を様々な行動の原因のひとつとしてとらえることは、人間を対象としている以上、重要な視点だと思う。
どのような時にモチベーションが上がるのか、またその逆は何か、というモチベーションが上下するトリガーを探すことは、特に自身の行動を改善するために有効な手段のひとつになりえる。
個人や集団のパフォーマンスのブレを最小にするために「モチベーション」にフォーカスし、モチベーションに影響されないパフォーマンスを出すためにはどうするか、という議論は建設的な方法だ。
 
そのひとつの方法が、スポーツの世界から近年注目を集めるようになった「ルーティン」だ。ルーティンは「ルーティン作業」という言葉があるように、決まりきった動作というような意味だ。辞書では以下のように記載されている。
routine
【名】
〔一連の〕決められた方法[動作]文例
〔習慣的または機械的に〕繰り返されるもの
〔劇場やクラブなどの〕型通りの演目[出し物・話・アクション]
〈話〉〔通例心のこもっていない〕型にはまった行動[話]文例
《コ》ルーティン◆ある限定された仕事を行うプログラム。
【形】
所定の、定められた通りの
習慣[日課]となっている、決まった、毎日のようにしている
ありふれた、いつもの
レベル5、発音ruːtíːn、カナルーチーン、ルーチン、ルーティーン、変化《複》routines、分節rou・tine
 
スポーツでは精神面の状況が成績に大きく影響を与えるため、プレッシャーやモチベーションに影響されないよう、ルーティンを行うことで感情の上下による影響を少なくするように取り入れられた。
感情は数値化して管理することができないので、ルーティン化した行動によって管理するという方法だ。
「モチベーション」に話を戻すと、繰り返しになるがモチベーションも同様に数値で管理することはできない。
ただし、スポーツの例で分かるように「モチベーション」に左右されないように行動を管理することは可能ということだ。
 
 

3: 「モチベーション」管理について

組織で問題が起こったときにメンバーのモチベーションの低下が原因と言われる場合がある。個人の問題でも同様にモチベーション低下を原因とする場合がある。
 
モチベーションが原因と規定されると、モチベーションを如何に上げるか・高いままで維持するか、という議論になることがあるけれど、問題はモチベーションの低さではない。問題はモチベーションに影響されてパフォーマンスが低下する仕組みになっているということだ。
問題の設定は議論の方向を決める。
だから問題設定を間違えないために、「モチベーションは数値化管理できない」という認識をしっかりと持つ必要がある。
 
「モチベーションが上がらない」「だからパフォーマンスが低くなった」は、「やる気がない」「だからやりませんでした」と同義だ。
組織でも個人でも自身でも、波のあるモチベーションに影響されない仕組みを作ることができれば、パフォーマンスの乱高下は無くなる。
 
ではどのようにしたらモチベーションに影響されない安定したパフォーマンスを出すことができるようになるか。
残念ながら万人に効く方法はない。それは個々人で趣向が異なるからだ。
メジャーリーグの野球選手イチローは、朝起きてからの行動をルーティン化しているそうだ。プロのスポーツ選手はイチローのように行動のルーティン化を行うことでパフォーマンスの水準を安定させるようにしていると聞いた。
 
行動のルーティン化が必ずしも唯一の解決策ではない。
個々人が自分に向き合い、自分に適した方法を発見するしかない。
もしひとりでパフォーマンスの安定化が難しいなら、信頼できる人に相談したり、誰かのマネをしてみるのもいいだろう。
 
読まれた方が「モチベーション」に責任を押し付けて何もしない、というようなことにならないよう、一助になれば幸いだ。
 
 

*1:Amazon.co.jpで、「モチベーション 本」で検索した結果:2017/5/7時点